近年、女性向けサービスがマーケティングで注目されています。購買意欲の高い女性をターゲットにしたマーケティングは売上の向上や顧客獲得に効果的だからです。

 

しかし、女性をターゲットに区分する方法は、女性がどのような購買プロセスを経て、思考や購買行動に至るのかを事前に知っておく必要があります。

 

本記事では、女性向けサービスのマーケティングで押さえるべきポイントや実際の流れを解説します。

 

女性向けサービスのマーケティングとは

女性向けサービスのマーケティングは、女性をターゲットにすることから「女性マーケティング」と略して呼ばれます。

 

マーケティングとは、ビジネスなど営利活動を行う企業の施策や戦略全般を指します。つまり、企業が女性向けサービスの視点で集客や売上の向上を図ることです。

 

ちなみに、女性向けサービスには、次のような事例が挙げられます。

 

• エステ、医療脱毛、整形

• カフェ、軽食店（レディースメニュー）

• 企業の就職、採用公募

• 結婚相談所、マッチングアプリ

• ジム、ヨガ、スクール

• ウエディング

• 洋服店、駅地下

• 美容院、ネイル

• 温泉、スパリゾート

• その他、女性が利用するサービス

 

本来、マーケティングでは消費者となるターゲットを具体的に想定して集客を強化します。そのため、女性向けサービスの場合は、「女性」にターゲットを絞って、効果的な施策を開始することが基本です。

 

そのとき、女性向けかどうかは、上記事例のように提供する商品やジャンル、事業形態に左右されます。

 

企業が女性マーケティングを強化する理由

女性向けサービスのマーケティングでは、ターゲットが女性を理解して方針を決定することが企業においては重要です。そこで、以下に女性マーケティングを強化する意義や理由を取り上げます。

 

男性と女性では購買プロセスや購買行動が異なる

まず、企業が女性マーケティングを強化する理由の1つ目は、男性と女性では購買プロセスや購買行動に違いがあることです。

 

傾向として、男性は目的を決めて店を訪れ、買い物をしたらすぐに店を離れます。目的のないウィンドウショッピングをすることが少なく、店舗やサイトに至る前に、商品の魅力を伝えることが重要です。

 

しかし、女性の多くは実際に店舗に訪れてから買うものを決めたり、買うかどうかも含めて未検討というケースが少なくありません。食料品などの買い物を除けば、購買行動を踏まえると現場の商品販促が重要になってきます。

 

そのため、女性向けサービスのマーケティングでは、上記の購買行動における男女の違いを意識してマーケティングを実施することが求められるのです。

 

市場開拓の意義がある

女性マーケティングには、既存のジャンルや商品にはない新たな市場を開拓できる可能性があります。

 

例えば、事例の1つに挙げたカフェは、男女が利用するサービスですが、女性向けのサービスを展開することもできます。スターバックスなどの事例では、SNS映えや割引、イベント企画などを導入することで、集客や売上が向上したことは有名です。女性を引き入れることで、カフェの事例のように市場を新たに開拓できます。

 

特に女性は市場の規模が大きいことが近年では注目されており、女性向けの商品・サービスを企画する企業も増えています。

 

女性の感性や共感

女性マーケティングを企業が強化する理由の中には、女性がロジカルに商品を決めないことが背景にあります。基本的には女性も男性と同じように目的や用途からその商品を選ぶ点では同じです。

 

しかし、購入に至る決定理由は、女性が「かわいい」「流行のもの」といった感性や「他の人がいいねしている」「この商品を友人におすすめされた」などの共感によって左右されます。

 

したがって、宣伝手段やブランディングを検討する上で、購買行動を踏まえた女性マーケティングを実施する大きな理由となるのです。

 

女性マーケティングで押さえるポイント

ここでは、マーケティングをする際に押さえておきたいポイントを紹介します。

 

流行・トレンドを押さえる

女性の多くは、流行・トレンドをチェックし、いま売れている商品を中心に手に取りやすいのです。特にファッションやSNS映えを中心としたサービスでは重要となります。しかし、流行・トレンドを外したサービスは、知名度が上がりにくく、利用されにくいでしょう。

 

そこで、女性マーケティングでは、流行やトレンドとミスマッチしないようにすることが大事です。そのためには、事前調査をしっかりと行い、顧客アンケート結果なども踏まえて、いまのトレンドにマッチしたものを選定する、次のトレンドを予想した企画を提案するなどを意識することです。

 

ターゲットを細かく分ける

女性マーケティングをする際に、男女で分けるだけでは不十分で、さらに細かくターゲットを絞ることが必要です。

 

なぜなら、現代ではモノの価値観が多様化し、1つの商品やサービスだけでは、すべての女性のニーズを満たすことができないからです。

 

例えば、年代や職業、趣味趣向などでターゲティングを細分化して、ニーズを分類し、自社商品・サービスにマッチしたメインの顧客層を明確にしましょう。

 

女性向けの印象を持つブランド構築

男女が利用する商品・サービスでは、女性に対する特別感を演出することが難しいため、ブランドの印象も中立的なものとなります。しかし、女性向けサービスの場合は、基本的に男性を意識してブランドを構築する必要がありません。女性に特化してブランドイメージを認知、展開することが可能です。

 

女性マーケティングの強みは女性向けのブランドの構築にあり、女性に広くサービスを定着させます。ブランドだけで女性向けと伝われば、それだけで女性の見込み顧客やファンの獲得をしやすくなるでしょう。

 

口コミや評価

女性が商品を購入する際に重視するポイントの1つに、口コミや評価があります。広告だけで商品を売れた時代とは異なり、大手でも広告の謳い文句による購買力だけでは不十分です。

 

そこで、口コミや評価の向上を前提に、口コミがつきやすく、悪い評価がされにくい商品企画や売り方が必要です。

 

例えば、安くて悪いものを提供するのではなく、コスパやブランドを意識した「その顧客1人にマッチした商品をできるだけ多くに売る」というスタンスが求められます。特に女性の購買プロセスは口コミや評価に影響されやすいため、女性向けサービスを企画する場合は、マーケティングの際に意識しておきましょう。

 

カスタマージャーニーを作る

マーケティングではよく「カスタマージャーニー」のフレームワークが使用されています。カスタマージャーニーとは、ターゲットとなる顧客が実際に商品を購入するまでたどったプロセスを「旅」に見立てて、表や一覧にすることです。

 

例えば、表には具体的な購買行動や思考、企業と顧客の接点などを考えて、顧客体験を「見える化」します。その際に、顧客が女性主眼という点を踏まえることです。購入までの流れを段階ごとにわけ、女性の顧客が何を考え、行動するかを予想して表に書き込みましょう。

 

チームや仲間を意識する

女性マーケティングでは、団体やチームで利用することが前提のサービスも存在します。そういったサービスの場合、チームや仲間を意識してマーケティングをすることが大事です。

 

例えば、就職サポートや採用のサービスでは、個人向けのメリットや魅力を押し出すだけでなく、「チームや仲間としてはどうか？」を具体的にして、良い部分を全面に出しましょう。

 

利用時の女性が抱えやすい悩みや疑問を解消する

女性向けサービスは、集客時に顧客が利用前後にさまざまな悩みや疑問を抱えることがあります。

 

マーケティングでは女性が悩みや疑問としやすい部分をフォローする体制を整えて、情報を投げっぱなしにしないようにすることが必要です。

 

悩みや疑問が利用前後で解消されるだけで、女性は安心してサービスを利用できます。また、女性顧客のコンバージョン率（CVR）の向上にも繋がります。

 

女性マーケティングの2つのメリット

女性マーケティングには次のようなメリットがあります。

 

男女共通のマーケティング手法よりも取りこぼしが減る

マーケティングは、男女で共通する部分を理論としており、女性に特化した手法にはなっていません。そのため、男女合わせて取りこぼしが減るようになっており、取りこぼしの中には、一般的な手法には当てはまらない女性顧客の行動をカバーしきれないでしょう。

 

しかし、女性マーケティングを意識的にすることで効率が高まり、結果にあらわれやすくなります。

 

もちろん、マーケティング手法は男女共通の部分でも女性に適用できる方法があります。そのため、女性マーケティングではあくまでも一般的な手法を基本として、女性を軸に考えるのが原則です。

 

女性に売れるようにすることで長期的な売上アップ

女性は購買意欲が高く、互いにおすすめしあって市場規模を大きくします。女性に売れやすい企画や広告・宣伝にすることで、普通に販売するよりも売上につながりやすくなります。

 

ブランディングもしやすくなり、知名度の向上に成功すれば、必然的にファンも増えます。口コミやSNSとの相乗効果を見込める場合もあるでしょう。

 

そのため、一過性のヒット商品・サービスではなく、長期的な売上や利益への結果に結びつくのです。

 

 

女性に絞ってマーケティングするときの注意点

女性マーケティングを実践する際は、以下の注意を押さえて実施することが必要です。

 

男女両方にアプローチできない

まず、女性マーケティングは、「女性」にターゲットを絞って進めるため、男女両方にアプローチするのが難しいという欠点があります。完全な女性向けサービスなら問題ありませんが、男女の両方が利用するサービスでは効果が薄くなりがちです。

 

もちろん、男性と半々でもあえて購買効果の高い女性にアプローチして売上アップを狙うことは可能です。自社の商品・サービスに男女でどの層がどのくらいの割合でいるのかをまずは把握しましょう。

 

古いイメージ像に頼らない

女性は全員が同じ感覚を持っているわけではありません。「こういう人たち」「こんな買い物の仕方をする人たち」という固定観念は、視野を狭めてマーケティングにおける柔軟性を失わせます。

 

全体として女性に一定の傾向があっても、商品やサービスごとに顧客の心理面や思考を検討し、その場面にあったものを想定することが求められます。

 

特に顧客ニーズの把握では一般論がそのまま当てはまらないことも多いでしょう。そこで、女性を意識しつつもターゲティングやカスタマージャーニーの設定などは状況に合わせて柔軟に対応しましょう。

 

表現方法に気をつける

女性マーケティングで意識することの1つに、商品やサービスを誘導する文句の表現方法があります。女性にとって商品のおすすめや口コミの共有は、商品購入を決めるときの重要なファクターです。

 

しかし、企業側が用意する広告・宣伝の文面は、直接的な表現をすると女性にとっては上から目線の押し付けに感じられることも少なくありません。そのため、間接的な情報や他者の言葉を経由した表現など工夫できる部分が多々あります。

 

また、マーケティング手法をそのまま当てはめて、「商品を買わせるために顧客を論破する」というのもよくありません。女性は特に購入過程のロジカルな理屈よりも感覚的な購買意欲を持っているため、あくまでもやんわりとした推奨のほうが売れやすくなります。

 

もちろん、売れる商品は小細工なしでも売れますし、売れやすさが全部謳い文句だけで決まるわけではないのです。したがって、売り方だけに頼らない、売れる商品・サービスの企画、設計が重要なことは確かです。

 

机上のマーケティング手法が通じないケース

女性は流行やトレンドに敏感です。しかし、季節ものや定番の商品を除けば、実際に売れるかどうかはその時にしかわかりません。事実、机上で考えた女性マーケティングが現場で通用しないということは得てして起こります。

 

例えば、マーケティングの理論通りに売れて、女性に特化させるマーケティング（ミクロ視点）では成功しないこともあります。一方、マクロな視点のマーケティング理論が通用せず、女性の顧客行動（ミクロの視点）を踏まえて設計・マーケティングした商品が逆に売れることもあるのです。

 

以上、ミクロな顧客行動とマクロの理論の結果が合わないことは実際に起こることです。ただし、結果が思うように出なかったときは、次に活かして改善することを念頭に置くことが大切です。

 

女性向けサービスでSNSで好まれる発信内容

女性マーケティングでは、SNSを活用して集客し、最終的に企業に利益をもたらすことが目標です。それには女性に有効な発信内容を知ることです。ここでは、活用方法として女性にSNSで好まれる企業の発信内容を紹介します。

 

視覚的な情報を重視する

国内では、女性に人気の高いSNSの1つにInstagramがあり、インスタ映えのような視覚的な情報が好まれます。例としては、結婚式や飲食、動物などです。

 

実際、女性は目で商品を確認してから購入を検討することがよく知られているのです。女性をターゲットにするときは、視覚的な情報発信面をして、広告や宣伝で視覚的な情報が伝わりやすいように工夫することがおすすめです。

 

また、女性に好まれる内容はそのままに、動画の情報発信も有効な手段となっています。

 

ハッシュタグで企画参加型の情報を発信する

ハッシュタグを付けて発信することで検索されやすくなります。その際、「#プレゼント」「#女性の～」などを付けて、女性に有益な情報や興味の惹かれる内容を発信することがおすすめです。

 

検索されやすくなる上に、女性が興味を惹かれることでしょう。特に応募やプレゼント、購入者が参加して自分もSNSで投稿するタイプの企画は女性に好まれます。

 

芸能人やインフルエンサーとのコラボ

芸能人やインフルエンサーを活用することで、女性に興味をもたせやすくします。特にインフルエンサーはすでにいるアカウントのフォロワーや視聴者にも効果的にアプローチできます。

 

アカウントを作りたての企業にとっては、コラボを実施して、その内容を発信するのも有効です。近年では女性向けサービスを含め、芸能人やインフルエンサーとのコラボで広告・宣伝に活用する企業も増えています。

 

女性向けサービスでマーケティングを始めるときの流れ

女性マーケティングのポイントや手段を押さえたところで、今度はマーケティングを実施するときの手順を説明します。

 

【一連の大まかな流れとポイント】

1. 市場分析

2. ターゲティング

3. ポジショニング

4. 価値の検討

5. マーケティング戦略の決定（集客など）

6. ツールを使用した分析・改善

 

女性にフィットした流行、トレンドの市場調査

まずは女性に人気の流行やトレンドの現状を知るところから始めます。市場調査を経て商品企画の大まかな設計や既存商の売り方の参考情報を入手しましょう。

 

商品・サービスごとに「どのような価値を付けて売り出すか」を決める必要があるためです。例えば、「SWOT分析」や「3C分析」は代表的な市場分析フレームワークです。これらを上手く活用して市場の把握を行いましょう。

とはいえ市場に合う自分の強みや価値が分からない、という方も多いです。
私どものブランディング講座でも、「SWOT分析」「3C分析」をする上で、まず自身の棚卸をすること、そしてその棚卸を受講生同士で確認し、客観的にフィードバックすることを大切にしています。

例えば「印象プロデュース」をしたい、という女性起業家Kさんがいました。
彼女は自分の価値として、当初ブライダルの司会実績を価値として打ち出していました。
ですが、実際に棚卸を書き出していただくと、彼女はNHKのキャスター経験と外資系航空会社のCA経験があることが分かったのです。
花形職業を２つも経験している女性はなかなかいない！と周りからも「そこを強みにしたら？」と
大プッシュがありました。
印象、というトレンド性の高いワードに対しても、自身のどこを打ち出すとより響くかは見せ方によって
大きく異なります。

このように、自分が感じる価値、市場（第三者）が感じる価値には乖離があることも多いです。
市場調査をする際は、ぜひ自分の価値を客観的な視点で分析できる環境を用意しましょう。

 

ターゲティング、目標の決定（ペルソナ、ストーリーテリングの設定）

次に、ターゲティング（セグメント化）を開始して、「女性」という漠然とした対象ではなく、具体的に何歳くらいのどこに住む女性が商品・サービスを利用するのかを想定します。

 

例えば、化粧品なら年齢を区切って10～20代の若年層向けや中高年層向けなどに細分化します。他にも化粧の目的・理想の違いなどを踏まえてターゲットを明確にすることです。

 

カスタマージャーニーの作成では、ペルソナを決めることで具体的な行動を予想しやすくなり、購入までのストーリーテリングや心理・思考の把握がはかどります。

 

集客方法の検討

集客方法は、先に上げた広告・宣伝に有効な手段の中から自社が可能な方法を選びます。ただし、広告・宣伝といったメディアの利用には費用がかかるため、どれでも良いというわけではありません。

 

例えば、予算の範囲が決まっている事業や、企業規模が小さく予算が取れない個人や中小・零細企業もあります。以上の点を踏まえて、複数を使っても良いですし、いくつかに重点を置いて広告・宣伝を展開するのもありです。

 

分析、改善

集客結果を踏まえて、得られた売上や成果を確認します。まずはコンバージョンに至った具体的なプロセスを分析して把握することが大事です。

 

広告の費用対効果が低いケースもあるため、ターゲティングをもっと絞ったり、広告・宣伝の手法を変えるなどの改善策を考えます。そこから得られた結論を、次の運用に取り入れます。

 

分析に役立つツールを導入することで効率化することも可能です。営業で獲得した顧客情報を集客に活用したいときはCRM（顧客管理システム）を導入することも検討しましょう。

 

まとめ

今回は、女性向けサービスでマーケティングをする理由やメリット、流れについて解説しました。

 

ターゲットを女性に絞って企画や広告・宣伝をすることは、男性を含めた一般的なマーケティング手法よりも精度が上がり、女性の購買プロセスをより深く知ることができます。特に、論理ではなく感情に訴える女性向けのアプローチは重要です。

 

上記のメリットや手順を踏まえながら、戦略的に女性向けを意識したマーケティングを進めましょう。

当ブランディング講座では、自分の強みや武器を客観的に見つけ、ビジネスモデルに繋げていくカリキュラムが整っています。
気になる方はぜひ1day集中講座にてお待ちしています！